塗装・塗料の専門知識
-
-
2025
1.6アスファルトシングルの浮き・反り
塗膜の乾燥収縮が原因
鉄筋コンクリート造のマンション屋上斜壁部において、アスファルトシングルの再塗装工事を行いました。下塗りに水性サーフェイサーを使い、仕上げには弱溶剤シリコン樹脂塗料を使用しましたが、2年後にアスファルトシングルの下端部が浮き、剥がれて反り返る現象が発生しました。
塗装時の状況を調査した結果、初回の塗料は厚膜に塗装されており、アスファルトシングルには、すでに反りの兆候が見られていたことが分かりました。
アスファルトシングルはガラス繊維フェルトにアスファルトを含侵させ、表面に着色した砂粒を圧着したシート状の屋根材です。素材自体が柔らかいため、厚く塗装すると塗膜の収縮力によって端部が反り返る可能性があります。今回の浮き・反りの原因は、再塗装によって塗膜がさらに厚くなり、経年劣化によって塗膜が硬化。その収縮応力とアスファルトシングルの劣化による接着力低下が重なった結果と考えられます。
葺き替え又はカバー工法で対応
再塗装を行う際は、まず初回の塗膜の状態をよく確認することが重要です。アスファルトシングル自体が劣化している場合、塗装は出来ません。一方、塗膜が正常でシングルに反りの兆候が見られない場合は、水性の薄膜塗装仕様で塗装が可能です。
すでに反りの兆候が見られる場合は、再塗装は避けるようにします。この場合、アスファルトシングルによる「葺き替え」または、ガルバリウム鋼板などの「カバー工法」で改修が必要になります。
葺き替え時の注意点
アスファルトシングルにはアスベストが含まれている可能性があります。2006年9月以前の施工されている場合は専門機関による調査が必要です。もしもアスベストが検出された場合、処理費用が高額になるため、金属カバー工法での改修がおすすめです。
なお、将来建物を解体する際には、労働安全衛生法(石綿障害予防規則)を遵守し、適切に処理を行うことを忘れないようにしてください。