塗装・塗料のコラム

阪神佐藤興産株式会社

2021
8.1

打ち放ちコンクリート仕上げの雨だれ汚れ

 

黒い雨だれ汚れは酸性雨が原因

 

完成から15年ほど経過した打ち放しコンクリート造りで、当初からクリヤー塗料で仕上げられた建物に於いて、白い変色と水切りからの雨だれに沿って目立つ黒い汚れが発生しました。
現地調査の際、白く変色した部分の塗膜を指先でこすると、コンクリート面まで削れるほど劣化していました。また、黒く見えたところは通常の雨だれ汚れでは無く、雨水でコンクリート表層が流し取られたあとが黒く汚れて見えていたことが分かりました。
雨水は大気中の炭酸ガスや酸性ガスを含む弱酸性水のため、アルカリ性のコンクリート表面を徐々に溶かします。白い変色はクリヤーの劣化による粉化現象(チョーキング)現象で、雨だれの黒い汚れは酸性雨によるコンクリート表層の溶出あとが原因でした。

 

 

 

 

打ち放しコンクリートの専用塗装システムで躯体を守る

 

以前のコラムでも取り上げましたが、打ち放しコンクリートを何も施さない裸の状態で、放置すると、大気中の炭酸ガス、酸性ガス、酸性雨によりコンクリートの中性化が進み、鉄筋の腐食を早めるため建物の寿命が縮みます。
対処策として、クリヤーを塗装して炭酸ガスを含め酸性雨などを遮断することで、コンクリートの中性化を遅らせることが可能になります。
ただし、通常のクリヤーではコンクリート表面の密度の違いによって吸い込み差が生じてしまい、ぬれ色ムラが発生し外観を損ないます。ぬれ色ムラを抑えるためには、打ち放しコンクリート専用の塗装システムを採用することが望ましく、さらにクリヤーは耐候性の良いシリコンまたはフッ素樹脂塗料が必要となります。

 

この様な対策を講じても定期的なメンテナンスは必要で、チョーキングなど劣化の傾向が出始めれば、修繕計画をたて早めの対策に入ります。改修方法は、高圧洗浄で汚れを落とし、システムの上塗りクリヤーを塗装するだけで済みます。また、ひび割れなどの補修を合わせて行うことで、寿命をさらに大きく延ばすことも可能となります。

 

今回の建物の改修の場合は、劣化したクリヤーは高圧洗浄で除去が可能ですが、雨だれ部分のコンクリート表面がかなり浸食されていますので、専用塗装システムでも十分に隠しきれないと思われます。
この様な場合の改修方法として、「エナメル塗装」がありますが、下地を塗りつぶすために
打ち放し感を落とします。もう一つの方法は、打ち放しの風合いを作りだすため、コンクリート近似の濃淡色をスポンジなどで別々に叩いてぼかし塗りする「エージング塗装」がありますが、工期と費用がかさみますので、改修工事のプロとじっくり相談することをおすすめします。