塗装・塗料の専門知識
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2022
1.5コンクリート打ち放し仕上げ雨で黒いシミ
黒いシミは撥水効果の不足
コンクリート打ち放し仕上げの建物で竣工から10年を経過したころから汚れが気になってきたので、専用の塗装システムで塗り替えをしたところ、雨の日に丸い黒いシミが出ることに気付きました。
近くで観察するとコンクリートの小さなピンホールから雨水がシミ込んでぬれ色になっていることが分かりました。塗り替える以前はコンクリート全体がぬれ色になるために気が付かなかったのですが、今回は部分的なシミになり目立ちやすくなっています。
コンクリート打ち放し専用の塗装仕様は4工程からなり、最初に雨水のしみ込みによるコンクリートのぬれ色防止のための撥水剤を施します。次いで下塗りはクリヤーの樹脂のしみ込みによる仕上がりムラ防止のための半透明クリヤーを塗装し、中塗りは保護用のクリヤー、上塗りは打ち放しコンクリートの風合いを醸すつや消しクリヤーを塗装して仕上げます。
今回の雨水による黒いシミは、経年によって風化したコンクリート表面の吸込みが著しく、雨ジミを防止する撥水剤の塗布量が不足したことが原因と思われます。撥水効果の検査が必要
この様な症状が出ないようにするには、撥水剤を塗装し乾燥後に、散水を行い、撥水効果が十分に発揮していることを確認してから次の工程に入ることが大切です。
この様な症状が発生してしまった場合は、撥水剤をウールローラーで雨水の入るピンホールから補給します。重点的に数回塗り重ねて、乾燥後に散水を行い撥水効果が発揮できていることを確認した後、上記のつや消しクリヤーを塗装して仕上げます。
撥水剤の上に直接つや消しクリヤーが塗装できないシステムもありますので、メーカーと相談して手直しをすることをお奨めします。