塗装・塗料の専門知識
-
-
2025
2.1亜鉛メッキ鉄骨の白さび
白さびが鉄を守る
マンションの塗り替え工事の際、居住者の方から「無塗装の屋外立体駐車場の鉄骨部分が白くなっているが大丈夫なのか?」とのご相談をいただきました。
通常、鉄のさびといえば赤さびを想像しますが、白さびが発生し、手で触ると白い粉が付着する状態のため、「鉄骨が弱くなっているのではないか?」「この状態で塗装しても問題ないのか?」と不安に思われたようです。
調査の結果、鉄骨部分は亜鉛メッキ鋼材であることが分かりました。白い粉状の物質は、亜鉛メッキが錆びたことで発生する酸化亜鉛で亜鉛華とも呼ばれる「白さび」でした。
この白さびは、亜鉛が自身を犠牲にして鉄を守る「犠牲防食」という仕組みが正常に働いている証拠と言えます。亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が強く、先に錆びることで鉄を腐食から守りますので、鉄骨は長期間にわたり保護されます。
余談ですが亜鉛華は白色顔料として塗料、絵具に、また化粧品、日焼け止め、医薬品など幅広く使われている安全性のある材料です。
白さび面への塗装
白さびの発生は、鉄の劣化ではないことを理解し、正しい処理を施せば塗装することが可能です。
白さびに直接塗装すると剥離の原因になりますので、まずはサンドペーパーなどを使って、亜鉛メッキの表面に発生している強度の弱い白さび層を取り除きます。
次いで下塗りですが亜鉛メッキはアルカリ性を呈しますので、アルカリに弱い油性のさび止めは避けて、耐薬品性を備えたエポキシ樹脂さび止め塗料を塗装します。
上塗りは弱溶剤系ウレタン樹脂塗料、または耐候性が必要な場合:弱溶剤シリコン樹脂上塗り塗料で仕上げることで、さらに耐久性が期待できます。