塗装・塗料の専門知識
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2025
6.2鉄部塗装でチジミが発生
弱溶剤塗料でチジミが発生?
冬場に工場建屋の鉄骨塗り替え工事を行いました。下塗りには弱溶剤1液型エポキシ系さび止め塗料、上塗りには弱溶剤2液型ウレタン樹脂塗料の仕様で、さび止め塗料の塗装乾燥後に上塗り塗装に入りました。1回目の塗装では異常は見られませんでしたが、翌日に2回目の上塗りを行った際に、塗装直後から1回目の上塗りが侵されチジミ(しわ)が起こる問題が発生しました。
洗浄に使ったラッカーシンナーが犯人
弱溶剤形塗料は強溶剤形塗料に比べて、このようなチジミ現象が起こることは稀です。起きるとすれば、被塗物に付いたワックスなどによる付着不良に起因するチジミがありますが、今回の場合はさび止め塗膜にチジミが発生しているため原因が異なります。また、冬場のため乾燥を早める目的で強溶剤を使用したこともあり得ますが、塗料用シンナーを使用していたことを確認しています。
さらに詳しく状況を調べたところ、ウールローラーや刷毛などの塗装用具は使用後にラッカーシンナーで洗浄した後に一晩漬けていたことが分かりました。このことからチジミの原因は塗装する際にウールローラーに残存したラッカーシンナーが塗料に溶け込み、1回目の塗膜を侵してチジミ発生につながったものと考えられます。
塗装用具は使う前には塗料用シンナーで置換を行う
弱溶剤形塗料での塗装の際は、ウールローラーなどの塗装用具は使う前には必ず弱溶剤で洗浄溶剤を置換することを心掛けるようにしましょう。
もし今回のような症状が出てしまった時は、チジミの箇所とその周辺の塗膜を除去したうえで、改めて同じ塗装仕様で塗り直します。