塗装・塗料の専門知識
-
2024
12.1雨で塗膜が白化
冬場!水性塗料の限界
冬場のマンションの塗り替えで下塗りに弾性フィラーを塗装し、上塗りには水性のシリコン樹脂塗料の濃彩ブラウン色で仕上げましたが、塗装1週間後に塗膜が白くなっているとの連絡が入りました。
状況を確認したところ2日前に長雨が降った後に、外階段などの腰壁の天端、水切り下の雨の当たるところが白くなったことが分かりました。
エマルションが乾燥前の乳白色に戻った
建物用の水性塗料には、エマルションと呼ばれる水性樹脂が使われています。エマルションとは水の中に樹脂を活性剤(石鹸)で分散させた液体で、乳白色をしています。水が蒸発すると、分散している樹脂が集まり融着して固まり、膜になります。豆乳や牛乳を鍋で温めると表面に膜が張る現象と同じで、広義には豆乳も牛乳もエマルションと言えます。
今回の症状は冬場の低温、高湿度でエマルションが膜になるのに時間が掛かるという弱点が影響して発生しました。十分に乾燥しない状態の塗膜に雨水が掛かってしまい、塗膜が水を吸収したことで表層が乾燥前の乳白色に戻ったことが原因です。
また、特に濃彩の場合には淡彩に比べて白さが目立つことが問題を大きくしました。
エマルションの初期降雨白化は性能には影響なし
冬場の水性塗装は白化だけでなく流出、造膜不良や、つや引けなどを起こす危険もありますので出来るだけ好天日を選び気温は5℃以下、湿度85%以上の環境での塗装は避けます。
特に寒冷地では水性塗料の使用は避けて弱溶剤形塗料を使用しましょう。