塗装・塗料の専門知識
-
2024
11.1戸建て屋根の2回目の塗り替えでムラが発生
塗膜の「ちぢみ」がムラの原因
戸建て住宅のコローニアル屋根の2回目の塗り替えを行いました。強溶剤形の2液エポキシ樹脂シーラーを用い、上塗りに弱溶剤形2液シリコン樹脂塗料を使用して塗装を行ったところ、後日施主様から「屋根の仕上がりの色相が均一でなく、ムラになって見える」との連絡がありました。
現場調査の際、下から屋根を観察するとブラウン色の仕上がりの中に黒い部分が点在しているのが確認できました。黒く見える箇所を詳しく調べたところ、塗膜の膨潤によると思われるちぢみ(シワ)の発生が見られ、その影が黒く見えていることが分かりました。
このちぢみは、弱っていた旧塗膜が強溶剤シーラーにより膨潤して浮き上がったことによって発生していました。今回の仕上がりムラは、塗装前の旧塗膜の脆弱性の確認不足と、旧塗膜があるところに膨潤・溶解のリスクのある強溶剤形シーラーを使用したことが原因だと考えられます。
弱溶剤形浸透シーラーが安全策!
今回のようなちぢみを防ぐためには、旧塗膜の脆弱性、特に付着力の低下を確認することが必要です。旧塗膜の付着性は、皮スキで削る程度でもある程度判断出来ますが、旧塗膜表面を清掃のうえ、ガムテープを強く貼り剥がしして、簡単に剥がれるかどうかで確認が可能です。
また、下塗りには強溶剤形シーラーの使用を避け、弱溶剤形エポキシ樹脂シーラーを使うことで旧塗膜のちぢみ発生を減らすことが出来ます。
ちぢみが発生してしまった場合は、発生個所の塗膜を皮スキや金ベラで丁寧に取り除き、下地が露出した部分は弱溶剤形シーラーで補修した後、同じロットの上塗りを塗装して仕上げます。