塗装・塗料の専門知識
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2024
10.1打ち放しコンクリート建物クリヤー塗装でつやムラが発生
塗膜の膜厚の違いがつやムラの原因
打ち放しコンクリート建物の塗装で専用クリヤーシステムをウールローラー塗装で仕上げましたが、仕上がり検査でつやムラが指摘されました。
専用の塗装システムはコンクリートの素材感を残し、コンクリートの弱点である吸水性、汚れ性、炭酸ガス、酸性雨などによる中性化を防止することを目的に開発されています。
上塗りクリヤーは、打ち放しコンクリートの自然な艶を引き出すために、つや消し塗料を使用します。つや消しはシリカ顔料などの剤によって表面に凹凸を作り、光を散乱させて艶を抑えますが、このつや消し効果はクリヤーの膜厚に依存し、膜が厚くなると凹凸が減少し、効果が低下します。特に専用クリヤーは、コンクリートの風合いを引き立てるために完全なつや消しではなく、わずかに艶を残しています。そのため、この傾向がより強くなります。
今回のつやムラは仕上げのつや消しクリヤーをウールローラーで塗装したことによる塗膜厚みの不均一によって発生しました。ウールローラー塗装による塗膜の不均一はウールローラーの端と真ん中で差が生じます。また、大きな面を塗装する場合は、必ず塗り重なる塗り継ぎ部に厚膜部分が出来るために、その部分の光沢差がつやムラの原因となり、特に斜めから観察するとその差は顕著になります。
スプレー塗装で膜厚を均一に
この様なつやムラを予防するには、均一な膜厚で塗装が可能なエアースプレー塗装を採用します。この場合は下塗り、中塗りはウールローラーでの塗装は可能で、最終工程の上塗りをエアースプレー塗装で仕上げるようにします。
もし、つやムラが発生してしまった場合は、エアースプレーで塗り重ねて手直しが可能です。ただし、エアースプレー塗装は飛散が多くなりますので、完全養生が必要になりますのでご注意ください。