塗装・塗料の専門知識
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2022
6.1さびが早く発生した!
屋外の鉄部塗装はエポキシ樹脂系さび止めが安心!
無塗装で放置していたベランダの亜鉛メッキ鋼製手摺りのメッキが摩耗して、さびの発生が著しくなったため、油性さび止めと油性上塗り塗料で塗装しましたが、わずか1年でサビが再発してしまいました。サビは水と酸素の電気反応により鉄を酸化させることで発生しますので、理論的には水と酸素のどちらかを遮断すれば防げますが、塗料でさびを止める場合、塗膜は水分と酸素を完全に遮断できないため、下塗りにさび止め塗料を塗装します。さび止め塗料に配合されているさび止め顔料が、水と酸素による電気反応を抑える作用でさびの発生を防ぎます。その上に塗装する上(中)塗りは、さび止め塗膜の保護と、水と酸素の透過を少なくする役割を担います。
代表的なさび止め塗料はエポキシ樹脂系と油性系とがありますが、このほど使用した油性さび止め塗料はエポキシ樹脂系ほどのさび止め性能はなく、屋外の悪条件に常時さらされる場所での使用にはさび止め性能に限界がありました。改めて塗膜を剥がして調査したところ、さびのケレン不足や、塗膜の厚みが薄かったことも分かり、それらの原因が重なってさびの再発を早めたと思われます。
さびを見つけたら、早急に塗り替える準備を!
さびの発生を予防する方法としては、日頃からさびの発生に注意を払うことが大切です。さびは進行すればするほど対策が難しくなるため、さび発生の傾向が出てきた段階で、早めに塗装しましょう。症状が出てしまった場合は、再塗り替えしか対処方法はありません。さびとその周辺の塗膜を十分にケレンし、環境条件の厳しい屋外の場合は2液変性エポキシ樹脂系さび止め塗料を用いて塗装します。さび発生部につきましては、あらかじめ部分補修を行い全面塗装行った後、上塗りに弱溶剤系シリコン樹脂系上塗塗料を2回塗装して仕上げることをお奨めします。但し塗布量は必ず指定量を塗装するように注意してください。