塗装・塗料の専門知識
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2019
5.14せっかく塗り替えた外壁に、気になる塗りムラが発生していませんか
塗り替え塗装は、高い技術の職人でも塗りムラを出なくするのは至難のわざ‼
例えば、戸建て住宅に多く使用されている凹凸模様のスタッコ仕上げの塗り替えを行なったケースで施主様から「せっかく綺麗にするために塗り替えたのに外壁仕上げの塗りムラが目立って気になる。」と苦情をいただくケースがあります。
経年すると、ほとんどの建物に大なり小なりのひび割れや塗膜の浮き、はく離などの劣化が生じます。例えばひび割れをそのまま放置すると雨水が侵入するため、ひび割れ周辺の塗膜をケレンし(取り除き)、サンダーでひび割れ幅を広げてシーリング材で止水を行いますが、周辺の塗膜をケレンするため、スタッコ模様が無くなり段差が生じるため、そのまま塗装を行うと補修跡が残り塗りムラの原因となります。
この様な場合は段差が生じた補修部分を元のスタッコ模様に戻すことが必要で、セメントフィラーで段差調整を行った後に砂骨ローラー(スポンジローラー)を用いて微弾性塗料などの厚膜塗料で凹凸模様をつけるなど細心の注意を施しながら、元の塗装面と再塗装面を違和感が無いようになじませる技術が必要となります。
しかし、外壁の一部を補修する場合、どんな方法を取っても塗り重ね部が出ますので100%塗りムラが無く塗装できるとは言えないのが正直なところです。確実に塗りムラを防ぐなら、既存の塗膜を全面ケレンして再塗装を
補修ムラを出さない方法としては既存の塗膜を全面除去し、ひび割れなどの補修も平滑に行い、新築時の下地の状態に戻して全面再塗装を行う選択肢しかありません。しかしながら、わずかな面積の補修部分のために既存塗膜を全ケレンすることは工期が長引き、かなり費用が嵩みますので現実性が無いと言えます。
あまり神経質にならず、すこし長い目で見ていただけないでしょうか?
実際は新築時でも気を付けて見ると塗りムラは発生しています。塗りムラは塗料のツヤが大きく影響していて、ツヤがあるほど目立ち、ツヤが無いほど目立ちにくくなります。新設時はスタッコ仕上げなどのつや消し仕上げが多いことと、『新築である』という思い込みから気が付かずに見過ごしてしまうことがほとんどです。
最近の塗り替えに使用する塗料は、樹脂分の多い高耐久性のツヤあり塗料を使用するケースが多く、塗りムラが出易くなっています。
そして、乾燥初期は上塗り本来のツヤ以上のツヤがあるために塗りムラが見え易くなりがちですが、時間が経つにつれてつやが落ち着いてくると塗りムラも目立たなくなってきますので、少し長い目で見ていただければと願っています。