塗装・塗料の専門知識
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2025
3.3ひび割れ補修跡が目立つ
シーリング材の仕上げ方が原因
コンクリート造マンションの外装改修で小吹スタッコ仕上げの壁を、弾性フィラー+水性シリコン樹脂上塗りで塗り替えました。工事の目的はひび割れからの漏水対策で、0.3mm以上のひび割れを以下の工法を用いて補修しました。
・0.3mm以上のひび割れ
コンクリートのひび割れ部をU字型にカッティングしてシーリング材を充填する「Uカットシーリング材充填工法」
・0.3mm未満のひび割れ
ひび割れ部に弾性フィラーを擦りこむ「シール工法」
しかし、竣工検査時に管理組合様から「妻壁部のひび割れ補修跡が目立つ」との指摘を受けました。指摘を受けた補修跡は「Uカットシーリング材充填工法」を用いた部分で、同時に行った「シール工法」部分には補修跡は見られませんでした。
調査の結果、補修跡が目立ってしまった理由はUカット部に充填したシーリング材が盛り上がった状態になっていたことが原因であることが分かりました。
シーリングは盛り上げない!
改修塗装でコンクリートのひび割れ補修跡を無くすのは非常に困難ですが、出来るだけ補修跡を目立ち難くするには以下の方法が有効です。
- 小吹スタッコの模様合わせ(吹き戻し)の仕上がりを良くするために、ひび割れ周辺の塗膜を3〜4cmほど少し幅広くケレンします。
- ひび割れ部分をUカットした後、シーリングを行います。その際、シーリング材は平面より少し下げ気味に充填し、乾燥後にセメント系フィラーで平滑に仕上げることが重要です。
- 旧塗膜と同じ小吹スタッコ塗料で模様合わせを行い下地を完成させ、弾性フィラー+水性シリコン樹脂上塗りで仕上げます。
- 小吹スタッコは塗布量を少なめに2回吹き付けで模様合わせを行い、補修部分は弾性フィラーで1回増し塗りすることでさらに改善が期待できます。
また、今回のような症状が発生した場合は補修部の再ケレンを行い、シーリングを下げ気味にカッター等で切り落とし、上記の段差調整を行って部分塗装で手直しを行ってください。