塗装・塗料の専門知識
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2021
10.1ウッドデッキの塗料にひび割れが発生
木材のひび割れは避けれない!
ツーバイフォー住宅に使われるSPF材を使いDIYした憧れのウッドデッキ。雨風から保護するため油性塗料で塗装したのですが、数年で木目にそってひび割れが入り、塗膜がめくれ上がってしまいました。木材を屋外で使用すると、いずれ乾燥してひび割れが入るのですが、今回のような早期のひび割れやはく離は木材と塗料の選択に原因があります。
SPF材とは、北米産針葉樹のスプルース(えぞ松)、パイン(松)ファー、(もみの木)それぞれの頭文字をとった木材のこと。柔らかで加工しやすく、手に入りやすいのが特徴ですが、広葉樹の木材に比べると耐久性が劣るためにメンテナンスが必要です。
木材に使用する塗料には表面に膜をつくる造膜タイプと、しみ込んで膜をつくらない浸透タイプがありますが、使用した油性塗料は造膜タイプで乾燥すると硬くて収縮が大きいために、SPF材のような表層が弱い木材では、はく離してめくり上がるケースが多くなります。
天然木材には浸透タイプの塗料が適している
今回のようなケースを避けるには、まずは木材選びが大切です。天然木材の風合いが必要なければメンテナンス不要の合成樹脂で成形された人口木が適しています。また天然木を選ぶなら耐久性の良い広葉樹のウリンなどがおすすめですが、硬くて重いため加工が難しいのが欠点で、DIYを楽しむには不向きかもしれません。
SPF材などの針葉樹を使う場合は、保護剤としてキシラデコールなどの浸透タイプ塗料での塗装を行う必要があります。浸透タイプの塗料は表面にわずかな膜をつくるだけで、造膜タイプのようにはく離することがなく、屋外で使う木部用途に適しています。
浸透タイプ塗料のメンテナンスは、2〜3年ごとに軽く表面のサンドペーパー掛けを行ったあと、ナイロンなどの保護手袋を着用し、ウエスに塗料を含ませて、ひび割れの隙間に塗料を刷り込みながら、全体に薄く塗り付けて仕上げます。メンテナンスで手の届かない束、根太、大引き、床板裏などの部分は、組み立てる前に2〜3回塗り重ねしっかり保護するようにします。
ひび割れや塗膜がはく離した時は…
今回起こったひび割れや塗膜はく離の症状の対処としては、まずは油性塗料の塗膜を出来るだけ木材の表面を傷つけないよう慎重にはがし、前述した浸透タイプ塗料で塗装すれば美しく仕上がります。木部用の浸透形塗料には水性形、溶剤形が市販されていますが、溶剤形を使用する場合は必ず保護マスク、保護手袋を着用するようにしてください。