塗装・塗料の専門知識
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2023
4.1ケイ酸カルシウム板でふくれ
塗装後翌日に塗膜ふくれ発生
築20年の木造アパート外壁の塗り替えで、エポキシ樹脂系シーラーを塗装し、可とう形改修塗材の弾性フィラーシステムで塗り替えましたが、翌日にふくれが確認されました。
外壁は下地がケイ酸カルシウム板で、砂壁状塗料のジョリパットで仕上げられていましたが、表面を指先で擦ると砂がさらさらと落ちるまでに劣化していました。
発生したふくれはケイ酸カルシウム板の下層と、取り付けねじの水の溜まり易い部分に多く発生が見られました。ケイ酸カルシウム板の吸水性が原因?
施工時の状況確認を行ったところ、塗装後に雨は降っておらず、塗装の前日に水洗いを行っていたことが分かりました。
塗装前日の水洗いに使った水がケイ酸カルシウム板まで達し、水を含んだ状態で塗装したことがふくれの原因と推測し、その後は水洗い後の乾燥インターバルを3日に伸ばして工事を進めたところ、塗装の翌日に雨が降ってもふくれが発生しなかったことから、塗装前日の水洗いが原因であったことと特定しました。
旧塗膜は劣化して水を止める機能が失われ、ケイ酸カルシウム板は軽量で空隙が多く水を吸い込みやすい上に、放出しにくい素材であることが影響したと考えられます。水洗い後は乾燥インターバルを十分に取る!
ケイ酸カルシウム板下地で劣化した旧塗膜の場合は、水洗を行うと素材まで水が廻るため、塗装までのインターバルを長く取り、下地を乾燥させる必要があります。乾燥インターバルが十分に取れない場合は、水洗いは避けてデッキブラシ等を用いて清掃することも必要となります。もし症状が出てしまった時は、ふくれた箇所を記録しておき、下地が十分に乾燥した段階でふくれた塗膜をカッターなどで取り除き、同じ塗装仕様で補修して仕上げます。