塗装・塗料の専門知識
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2020
1.4コンクリートの中性化で「さび」が発生
コンクリートの中性化でさびが発生
近年、著名な建築家も多く採用して、トレンドとなっている打ち放しコンクリート建物でさびが出ているのを見かけたことはありませんか?
竣工から15年程度の建物なのにさびないはずのコンクリートにさび跡が見られる?
よく見るとさびの見られるところが少し盛りあがっています。この症状はコンクリートの中の鉄筋がさびている証拠です。
これは『爆裂』と呼ばれる現象です。鉄筋に対してコンクリートのかぶり(厚み)が薄い部分の鉄筋がさびて膨張し、コンクリートの表層が押し上げられ、ひび割れが生じて鉄筋のさびが浸み出したと考えられます。
鉄筋に対してコンクリートのかぶりが薄かったことも原因となりますが、打ち放しコンクリートも裸の状態で長く放置すると爆裂が起き易くなります。
鉄筋はコンクリート主成分のアルカリによってさびの発生を防いでいるのですが、コンクリートが直接外気と接触するために、大気中の炭酸ガスや酸性雨、大気汚染ガスなどの酸性物質が表層から徐々に内部に侵入していきます。これにより化学反応が起こりコンクリートのアルカリが中和(中性化)されることで、防さび性を失い鉄筋にさびが発生してしまうのです。建物の寿命を縮める中性化には専用の塗装システムが必要
打ち放しコンクリートの建物の多くは、竣工時に浸透形のシリコン系撥水剤などを塗装して雨水の侵入を防いでいるのですが、表面の撥水の効果は2〜3年程度と短く、また撥水剤はコンクリートの外観を損なうことは少ないのですが、浸透して膜にならないために、酸性物質が浸入し爆裂に至るケースにつながり易いと言えます。
対策として、クリヤー塗料で膜を作り、酸性物質を遮断して中性化を防ぐことが必要なのです。しかしながら、一般のクリヤー塗料では、コンクリート表面の密度の違いによって、樹脂の吸い込み差が生じてぬれ色ムラが発生します。ぬれ色ムラの発生を抑えるためには、打ち放しコンクリート専用の塗装システムを採用することが必要となります。
中性化が進み爆裂が発生してしまった部分は、浮いたコンクリート層を取り除き、鉄筋のさびを落とし、エポキシ樹脂系のさび止め塗料を塗装した後にセメントフィラーで埋め戻しますが、セメントフィラーの部分は専用の塗装システムを用いても黒く仕上がるため、その周辺はエージング塗装(ぼかし塗り)を行ってムラの発生を防ぎます。
長期耐久性が期待される打ち放しコンクリートですので、上塗りクリヤーはシリコン樹脂又はフッ素樹脂クリヤー塗料をお奨めします。
打ち放しコンクリートの専用の塗装システム、エージング塗装のご相談は阪神佐藤興産にお問合せください。