塗装・塗料の専門知識
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2019
12.1コンクリート壁面にハナタレが発生
ハナタレの正体はエフロレッセンス
建物のコンクリート壁に液体が流れ出たような白いすじ状の汚れを見たことはありませんか?そのような症状は、エフロレッセンスと呼ばれるもので、コンクリート打ち放し仕上げ、塗装仕上げ面だけでなく、水が浸み出し易いレンガ、タイル仕上げ、石材仕上げの目地にも多く発生します。
エフロレッセンスは主に炭酸カルシウム(白色)で成り立っています。コンクリートに雨水が浸入するなどしてコンクリート内部の水分が過剰になると、水の通り道となるひび割れなどから余剰な水分が流れ出します。その水分はアクと呼ばれ、コンクリートに含まれる水酸化カルシウムや硫酸塩などのアルカリ成分が含まれています。それらが、外に流れ出ると大気中の炭酸ガスと反応し乾燥すると結晶化した炭酸カルシウムに変化してエフロレッセンスになるのです。
エフロレッセンスはラテン語の「開花する」が語源と言われており、顕微鏡で拡大して見ると、結晶が白い花が咲いたように見えることから、日本語では「白華(はっか)」と呼ばれています。実は、秋吉台の鍾乳洞天井のつららと同じ原理で発生しているのです。
エフロレッセンス発生の予防策
壁面に発生するハナタレの原因となるコンクリートのひび割れは、建築時の工法によって発生を抑えることは可能ですが、ゼロにすることはできません。竣工時にはひび割れがなくても、時間を掛けて乾燥固化する過程で、大きさは異なりますがほとんどの場合に発生します。
しかし、エフロレッセンスが発生しないように予防する方法はあります。それは、雨水が浸入しやすい屋上の防水材、パラペット笠木のひび割れ、開口部のシーリングの劣化、壁面に発生した大きなひび割れなど、コンクリート内部に雨水が侵入する入口となりそうな箇所を定期的に検査し、もし発生していれば迅速に対処してコンクリート内部への雨水の侵入を防ぐことが最大の対策となります。もしエフロレッセンスが見つかった場合の対策としては、先ずは雨水の浸入の原因となっている欠損部の修復です。次いで原因となったひび割れから水が止まったことを見極めて、Uカットを施しシーリングを充填し修復を行います。軽微なエフロレッセンスの場合は市販のエフロレッセンス除去剤で洗い落とすことが可能ですが、厚みのあるエフロレッセンスの場合はケレン棒、サンダーなどで削ぎ落します。塗り替える場合はJIS-A-6909可とう形改修塗り材Eの下塗りにパーフェクトフィラーを用いた塗装仕様をお奨めします。
コンクリート打ち放し仕上げ、またはレンガ、タイル、石材の場合のご相談は阪神佐藤興産にお問い合わせください。