塗装・塗料の専門知識

阪神佐藤興産株式会社

2024
6.1

コンクリート打ち放し建物の塗装で発泡

南面・西面に発泡が発生!

 

20年を経過したコンクリート打ち放し建物で夏場に塗装工事を行いました。浸透形エポキシ樹脂シーラーを塗装した後、弱溶剤シリコン樹脂エナメルで塗装したところ、すぐに次々と塗膜が膨れる発泡現象が生じました。

塗膜の発泡原因は色々考えられますが、南面・西面に限って発生していたため太陽熱の影響が疑われました。

 

発泡した箇所を近くで確認すると、コンクリートのピンホールや巣穴の部分で起こっていることが分かりました。このことから今回の原因は、ピンホールや巣穴の空隙が塗料で覆われた状況下で、空気・水分・浸透した溶剤などが太陽の直射熱により急速に膨張し、半乾燥状態の柔らかい塗膜を持ち上げてしまったことが発泡につながったと考えられます。

また、コンクリート打ち放し工法は素材感を生かすためにコンパネを脱型したままで仕上げるのが特徴ですのでピンホール、巣穴が多く残っているために、こうした問題が起こり易くなっています。

 

 

 

直射日光を避ける

 

エナメル仕上げ、エージング塗装で仕上げ面を塗りつぶす場合はセメントフィラーなどでピンホール、巣穴を埋め塗りつぶすことで対策します。または塗装時間が制限されますが、直射日光を避けるため南面・東面の塗装は朝早くか、直射が当たらなくなった時間帯、もしくは曇りの日を選んで行います。

この様な夏場の対策は、コンクリート打ち放し塗装だけでなく、通常の塗装についても発泡以外の仕上がり性、塗膜のピンホールなどについても有効になります。

 

塗料についてはシンナーの乾燥を遅らせる、希釈量を多くする、塗布量を少なくするなどの対策もありますが、夏場の直射日光の条件の場合には限界がありますので、上記の方法がもっとも安心な方法だといえます。

 

もし症状が出てしまったときの対策としては、塗膜の乾燥後に金ベラなどで発泡部を取り除き、サンドペーパーで平滑にした後、直射日光を避けた時間帯に上塗りを再塗装して仕上げます。

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