塗装・塗料の専門知識
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2024
5.1床用塗料で硬化性不良が発生
二液形エポキシ樹脂塗料は低温では硬化しない!
冬場に戸建て室内ガレージの土間コンクリートの塗装を行いました。防じん性の強化を目的に二液形のエポキシ樹脂塗料床仕様で仕上げる予定でしたが、上塗り塗装後3日間乾燥させても固まらない状態が続きました。塗料液と硬化剤に分かれた二液形エポキシ樹脂塗料の硬化不良の原因としては、硬化剤の混合比率の間違い、攪拌の不足、過剰の厚塗り、希釈剤の選択間違いなどが考えられます。
改めて今回の塗装環境を調べると、昼間でも気温10℃を下回っていたことが分かりました。一般的に塗料は低温になると乾燥が遅くなりますが、二液形エポキシ樹脂の場合は顕著で5℃以下を下回ると反応が進まず硬化するのが極端に遅くなります。
このことから、前述のような人為的なミスではなく、夜間の床面の表面温度が5℃を下回ったことによる低温硬化性不良が原因と考えられます。
また、低温では塗料粘度も上がるため、希釈のために加えるシンナーが余計に乾燥を遅らせることにもなります。冬場の床塗装には注意!
床面への塗装は温度条件、含水分、工期制限など、条件の厳しい部位ですので、低温期の塗装は出来るだけ避けることをお奨めします。
どうしても塗装する場合には冬季硬化剤の使用と反応促進剤の添加、またはエポキシ樹脂ほどの性能は期待できませんが、低温でも硬化反応するウレタン樹脂床用塗料を使用するなどの対処方法が考えられますが、いずれにしても歩行や車の乗り入れなどの実用性能の発現までには通常以上の乾燥期間が必要となります。
乾燥不良が起こってしまった場合は、シンナーを使い金ベラ等で硬化不良塗膜を除去して上記の塗装仕様で塗り直すか、温風ヒーターや遠赤外線乾燥機などを用いて温度を上げて強制的に乾燥を行う方法があります。