塗装・塗料の専門知識
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2024
1.4コンクリート面でリシンが白く変色した
セメントフィラーからアルカリのしみ出し
冬場のマンション改修工事の際、未塗装であったコンクリート庇裏をセメントフィラーで下地補修を行い、濃彩色の砂壁状のリシン吹き付けで仕上げて改装しました。数日後の仕上がり点検で部分的に白く変色していることが見つかったため、調査を行った結果、変色は下地補修の箇所で発生していることが分かりました。
以前のコラムの「コンクリート壁面にハナタレが発生」で紹介しましたが、白い変色はセメントフィラーによる白華(はっか)、エフロレッセンスが原因と思われます。
今回のエフロレッセンスの発生はフィラーの養生不足も影響し、フィラーに含まれるセメントのアルカリ性水酸化カルシウムが、リシンの希釈水・結露水などで溶けだし、リシン表面にしみ出して空気中の炭酸ガスと反応し、白い炭酸カルシウムに変化したことが原因となりました。
また、水酸化カルシウムは低温で水に溶けやすくなるために、冬場の工事で発生ししやすく、さらに塗料の色相が濃彩色であったことが、白いエフロレッセンスを目立たたせました。
シーラーでアルカリを押さえる
このような条件で塗装する場合は、アルカリの影響を避けるため必ずシーラーを塗装します。シーラーはアルカリ水のしみ出しを防ぐため溶剤形シーラー、または水性ならばアルカリ(アニオン)と反応するカチオン形シーラーを使うことでエフロレッセンスの発生を予防することができます。
エフロエッセンスが発生してしまった時の手直しは、弱溶剤系シーラーまたは水性カチオンシーラーを塗装した後、同色に調色したEPで塗り直します。その他に、弱溶剤つや消し塗料のニッペケンエースで仕上げる方法もあります。この場合はシーラーの必要はありません。