塗装・塗料の専門知識
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2025
4.1ステンレスにさびが発生
ステンレスでもさびる?
マンションの改修工事で鉄製の玄関扉に著しいさびが発生していたため、ステンレス製の扉に取り換えることになりました。さらに、お施主様の要望でクリヤー塗装を施しました。
塗装工程としては、まずステンレスの脱脂を行い、溶剤形2液ウレタン樹脂クリヤーで仕上げました。しかし、施工から半年後、お施主様から「さびないはずのステンレス扉に点状のさびが発生している」との連絡を受けて調査に入りました。
英語の “Stainless Steel” という名前の由来は、「Stain(さび)」+「Less(ない)」+「Steel(鋼)」という意味で、さびにくい鋼材として知られています。ただし、条件次第ではさびが発生することもあります。
ステンレスにも種類がある
鉄は空気や水に触れると腐食が始まり、さびが発生しますが、クロムやニッケルを混ぜることでさびに強い合金になります。その中でもクロムを10.5%以上含有する鉄をステンレス鋼と呼び、大きく分けて以下の2種類があります。
・クロム以外にニッケルを含みさびに強いSUS304(磁石がつかない)
・比較的廉価で屋外使用ではサビが発生するリスクのあるSUS430(磁石がつく)
調査の結果、問題のステンレス扉は磁石がつくことから、さびのリスクがあるSUS430が使われていたことが分かりました。
この現場ではマンションの玄関扉の環境を準外部と判断しSUS430が使用されましたが、扉が結露しやすい環境にあったこと、クリヤー塗膜は防さび性能を備えていないことがさびの発生の原因となりました。
ステンレス鋼板にはクリヤー塗装は避ける
外部や準外部のマンションのステンレス製の玄関扉には、SUS304ステンレス鋼板を用いることをお勧めします。
またステンレス鋼板(SUS304・SUS430)にはクリヤー塗装は避けてください。特にさびに強いSUS304は塗料の密着性不良の原因となります。
今回のクリヤー塗装の手直しは以下の手順で行います。まず、はく離剤等でクリヤー塗膜を取り除き、表面を清掃します。次に、2液エポキシ樹脂さび止めを塗装後、2液ウレタン樹脂エナメルで仕上げてください。ただし、ステンレス本来の外観は失われますのでご注意ください。