塗装・塗料の専門知識
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2023
1.4光触媒塗料を塗装したのに汚れが発生!
汚れ発生の原因は光触媒塗料の塗り残し
コンクリート建物の塗り替え工事で、弾性フィラーを用いて水性シリコン樹脂塗料を塗装後に光触媒塗装を行いましたが、完成後すぐに汚れが発生するトラブルに見舞われました。
原因を考える前に、光触媒塗料における汚れ防止のメカニズムについて簡単におさらいします。光触媒作用とは、太陽光線があたることで塗料に含まれる光触媒酸化チタンの強力な酸化還元反応が起こり、表面が超親水化し、汚れの原因となる黒い油煙の吸着を阻害して、雨水によって流し去る機能を指します。
光触媒塗膜が汚れる原因は色々考えられますが、まずは汚れた部分が期待どおり親水化しているかどうかの確認を行います。判定方法は霧吹き等を用いて汚れ面に水を吹きかけることで簡単に判定できます。親水性になっていれば水は流れ落ちますが、親水性になっていない場合は水をはじき水滴となって塗膜表面に残ります。
今回、汚れている箇所に霧吹きで水を吹きかけて確認したところ、水滴が残る状態で親水化していないことが確認され、汚れ方の形状から光触媒塗料の塗り残しが汚れの原因だと判断することができました。
専門業者に任せるのが安心
光触媒塗料は特殊な塗装器具を使って薄膜で均一に塗装する技能と、塗料が透明であることから塗り残しをしない熟練度が必要なために、専門業者に施工依頼することをお奨めします。
もし塗り残して汚れが発生してしまった場合は、水で汚れを落としてから光触媒塗料を再塗装しますが、汚れが落ちないときは、使用した上塗り塗料で汚れを隠してから光触媒塗料で仕上げます。