塗装・塗料の専門知識
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2022
8.1塗装に使用した廃ウエスから白煙
自然発火する油性塗料
木製のウッドデッキの保護のため浸透形の木部用油性塗料を塗装し、表面に残った余分な塗料を拭きとったウエスを空き石油缶にまとめて放置したところ、翌日の夕方になってウエスが入った石油缶から白煙があがり、ボヤ騒ぎになりました。廃ウエスが発煙したのは、植物油を原料とした油性塗料の自然発火現象が原因でした。
油性塗料は乾燥過程で空気中の酸素と反応して発熱します。塗装する塗膜は放熱するために反応熱で発火することはありませんが、油性塗料が浸み込んだウエスなどが集められると、この熱が蓄熱し反応が促進され、温度がさらに上昇し続けて燃焼温度に達して発火に至ります。油性塗料の発火現象は梅雨から夏場にかけて起こりやすく、熱、温度、密度だけでなく湿度も関係していると思われます。
油性塗料を含んだウエスなどは水に濡らす!
このような自然発火は木部用油性塗料のような塗料や合成樹脂調合ペイント、工業用の合成樹脂フタル酸塗料、さらには家庭で使われる天ぷら油でも起こる可能性があります。
自然発火を予防するためには、植物性油や油性塗料が浸み込んだウエスや新聞紙、段ボールなどの廃材は、そのまま容器やビニール袋に入れて放置することは絶対に避け、水を張った容器に浸漬させて放置後、水を含ませて廃棄しましょう。もし発煙などに至ってしまった場合は、慌てずに注水して温度を下げ、空気を遮断して様子を見ます。近くに溶剤系塗料などの可燃物がある場合は、燃え移らないように容器を遠ざけることも忘れないようにして下さい。