塗装・塗料の専門知識
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2022
7.1水性塗料の冬場工事によるふくれ
冬場の夜半の雨でふくれが発生
冬場のマンションの外壁塗り替え工事で、コンクリートのひび割れ対策のため、微弾性(可とう形)フィラーシステムを採用しました。
防水性能を高めるためにフィラーはスポンジ状の砂骨ローラーで厚塗りを行い、翌日に水性シリコン樹脂上塗りを2回塗りして仕上げましたが、その日の夜半から雨になり、雨の
当たるところに無数のふくれを発生させてしまいました。冬場の水性塗料は乾燥が遅れる!
水性塗料は低温環境では乾燥が遅くなり、また厚塗りした場合はさらに乾燥に時間が必要となります。
水中に樹脂を分散させたエマルションを用いる水性塗料は、未乾燥の状態では完全な膜に成っていないために水を吸収し易く、フィラー層まで水が浸透してふくれ発生につながりました。塗装後の天気予報に注意を!
溶剤、水性を問わずに塗装場所の気温が5℃未満、もしくは湿度85%以上である場合は塗装を避けることが前提ですが、冬場での水性塗料の事故を予防するには、塗装後の天候に注意を払うことが大切です。工期が無く、難しい判断が必要な場合は、工事の責任者と相談して、水性より乾燥の早い溶剤系の上塗りに変更することも対策につながります。
予測が外れ、乾燥不足で雨によるふくれが生じた場合は、あわてずにそのまま放置して乾燥させれば元の状態に回復が可能です。
さらに早い段階での雨で塗膜が流れ落ちた場合はフィラーから再塗装するしか方法はありません。