塗装・塗料の専門知識
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2019
10.1外壁に触れたら白いよごれが付着した
経年で劣化した塗料のチョーキングが原因
建物の外壁に手や服が触れたときに、白い汚れが付いた経験はありませんか?これはチョーキング(白亜化)と呼ばれる塗膜の劣化現象のひとつなのです。粉状になった白色粉が黒板に使うチョーク(石灰石)の粉に似ていることから「チョーキング」と呼ばれる様になったようです。太陽光線に含まれる紫外線、酸素、水などによって樹脂が分解され粉化状態になることでチョーキングは発生します。
一般的にチョーキングが最も発生しにくい塗料はフッ素樹脂塗料で、次いでシリコン樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、油性(合成樹脂調合ペイント)の順番となります。また、建物の向きもチョーキングの進行に影響を与えます。大陽光線を浴びやすい南面や西面が最も劣化しやすく、次いで東面、北面の順番です。油性塗料の場合では南、西面で一夏を過ぎるとチョーキングにいたることもあります。
さらに外壁の色相によってもチョーキングの発生度合いは異なり、濃彩に比べて白や淡彩色の方が早く発生します。これは白や淡彩色に多く配合されている酸化チタン顔料の光触媒機能による樹脂の分解作用が影響しています。また、顔料が多く入っているエナメル塗料よりも、樹脂だけのクリヤー塗料の方が耐久性に優れ、自動車のような耐候性を必要とする用途には最終工程の上塗りにクリヤー塗料が塗られてチョーキングを防いでいます。チョーキングは塗料寿命が最も分かり易い現象で、塗り替え時期の判断基準となります。
指で塗面をこすって少し白くなる程度ならば、そろそろ塗り替えを計画する段階で、白い粉がべっとり着くようになれば、早急に塗り替えが必要な段階のシグナルとなります。チョーキングには塗り替えや、塗り増しで対応
前述のとおり、チョーキングの発生を防ぐには耐候性の優れたフッ素やシリコン樹脂塗料をつかって塗装するのがおすすめです。また、クリアー塗料を塗り増しするのもかなりの効果が期待できます。
ただフッ素やシリコン樹脂塗料は長きにわたりチョーキングを防ぎますが、いずれは劣化してチョーキングにいたります。残念ながら現在の技術では、チョーキングを完全に防ぐことは出来ないのです。チョーキングが著しくなって塗り替える場合は、高圧水洗などで密着を阻害する粉化層を十分に取り除き、新たな塗料の塗装を行います。またチョーキング層が十分に取り切れない場合は、浸透形のエポキシ樹脂シーラーを塗装して密着性を高めてください。