塗装・塗料の専門知識
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2020
5.1戸建て住宅で経年したリシン仕上げの外壁が緑色に!?
建物外壁に藻による汚染が発生した
外壁をリシンで仕上げた戸建て住宅は、築後10年を経過する頃に北面の壁が徐々に緑に変色してくることがあります。
新築時は壁面のリシン仕上げは水を弾きますが、劣化に伴い小さなひび割れや隙間が多くなり、水分を吸収しやすくなります。外壁の北面は一般的に日当たりが悪く、湿気が高く、風通しが悪い環境にあります。リシン面は表面がザラザラしており、汚れや水分を溜めやすいことが原因となり、かび・苔・藻などが発生しやすくなります。
かび・苔は胞子で、藻は細胞分裂で繁殖します。いずれも水分が必要でかびは日の当たらないところを好みますが、苔・藻は日の当たるところで生殖します。以前は北面など外壁に生ずる緑色の汚れは、かびだと考えられていましたが、近年の調査では藻が主な原因になっていることが多いと報告されています。
塩素系漂白剤で洗い落とすか、新たに塗り替えるのがお奨め
このような状況を予防するには、苔、藻の養分となる汚れや水の滞留が少なくなるように、表面を平滑にして水をはじきやすい仕上げにすることが有効です。防藻剤入りの塗料を使用すれば効果が期待できますが、防藻剤は揮発性のものが多く、効果を持続する期間が限られるので注意が必要です。また、かび・苔・藻は湿気を好むので、北面に樹木などを植えている場合は、風通しが良くなるようにこまめに剪定することや、定期的に壁面の栄養となる汚れを落とすことが必要です。
もし、かび・苔・藻が発生してしまった場合、発生面積が小さければ保護メガネやゴム手袋などをして、汚れた部分に薄めた塩素系漂白剤を塗布し少し置いてから水道水で洗い流すことで、かび・苔・藻を落とすことができます。尚、広範囲に広がっている場合は、専門家に任せましょう。
かび・苔・藻が落とし切れない場合、また防水性が心配な場合は洗浄後、十分に乾燥させて弾性フィラーシステムで塗り替えましょう。その場合の上塗りはつや有りをお奨めします。