塗装・塗料の専門知識
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2022
2.1石材調仕上げで変色が発生
部分変色が目立つようになってきた
外壁を御影石に似せた石材調塗料で仕上げました。当初は仕上がりが均一で問題はなかったのですが4〜5年経ってきたころから、黒い部分変色が目立つようになってきました。
原因は上塗りクリヤーの塗り残し御影石を模造した石材調塗料は意匠を本物に似させるために、半透明の水性ベースに陶器紛・着色珪砂・天然石粒などの色彩骨材を配合した中塗りを用います。今回の塗装仕様は、下塗りをウールローラーで塗装した後に上記の中塗りを専用ガンで2回吹き付け、その直後にプラスチックローラーで凸部を押さえてヘットカットを行い、乾燥させた後に中塗りの保護用のつや消しクリヤーをウールローラーで塗装して仕上げています。
原因究明のため調査を行ったところ、黒く変色した部分はローラーの塗り跡の形状で起こっていることが分かりました。また、塗膜の吸水性を調べるために水をかけたところ、変色部分が水を吸ってぬれ色になることから吸水を防止するクリヤーが塗られていないことが見つかりました。これらのことから今回の変色は上塗りクリヤーの塗り残しが原因で、露出した中塗りの汚れであることが判明しました。
塗装はできるだけ明るい環境で行う!
クリヤーの塗装直後の状態では中塗りとつやが異なるので、塗り残すことは少ないと思われますが、曇り空、夕方などのつやが見難い条件で作業を行うと、塗り残しを見落とす可能性があります。クリヤーだけに限りませんが、仕上げも含めて塗装時はできるだけ、明るい条件で行うことが大切です。また、工数が増えるのですが、つや消しクリヤー仕上げの場合はつや消しの前につや有りのクリヤーを入れることも塗り残しの防止に効果があります。
塗り残しの変色が発生してしまった場合、塗装後早い時期ならば硬いブラシでの水洗浄で汚れを落としてクリヤー補修で手直しが可能ですが、経過して汚れが取れない場合は塗装面を区切って中塗りまでのケレンを行い、改めて中塗りを吹き戻して修復するしか手段はありません。