塗装・塗料のコラム

阪神佐藤興産株式会社

2021
7.1

「モルタルかき落とし」の塗り替えではく離した!

はく離は、使用した水性シーラーが原因

 

「モルタルかき落とし」は左官仕上げの技法で、コテ仕上げしたモルタルが完全硬化する前にワイヤーブラシなどで表面を削って仕上げる化粧方法です。大正時代にドイツから輸入された商品名「リシンプッツ」の仕上げ工法の一つで「リシンかき落とし」とも呼ばれています。この「リシンプッツ」は現在の吹き付け塗装する砂壁状仕上げ塗料のリシンの語源にもなっています。

 

今回は40年以上が経年した「モルタルかき落とし」の塗り替え塗装で、下塗りに水性シーラーを塗装後につや有り水性上塗りで仕上げたのですが、1年が経たないのにはく離したことが問題となりました。

 

はく離した塗膜の裏面には砂壁状のモルタル層が付着していたことから、水性シーラーでは弱ったモルタルの強度回復には至っていないことが分かります。これは水性シーラーに使われている合成樹脂エマルションの粒子の大きさが、モルタルのすき間(細孔)より大きく表層で止まり内部まで浸透できなかったことが原因です。また、塗装前工程の劣化モルタル層のケレン不足も関係しています。

 

 

 

 

2液溶剤形エポキシ樹脂シーラーは浸透性に優れる

 

多分、塗装前のモルタルは表面を指で擦るとザラザラと砂が落ちるぐらい弱っていたと思われます。この様な場合は、まず高圧水洗などで弱った表層を洗い落とし、次いでシーラーによって残っているモルタルの強度を回復させます。この様な場合のシーラーとしては水性シーラーのエマルションよりも、もっと分子量の小さい2液溶剤形エポキシ樹脂シーラーを使用します。このシーラーはモルタルのすき間に容易に浸透して反応硬化しますので、この様な劣化したモルタルなどのセメント系材料の補強に適しています。

 

しかし、はく離が起こってしまった場合の対策は、水性上塗りは取り除き、上記のエポキシ樹脂シーラーでモルタルの強度を回復させますが、吸込みが激しいモルタルの場合はエポキシ樹脂シーラーをもう1度増し塗りしてから、つや有り水性上塗り塗料で仕上げます。ケレンなどで表面が荒れてしまった場合は、弾性フィラーを挟んで、上塗り塗料で仕上げるのが良いでしょう。この様な柔軟性のある仕上げは、下地への強度負担が軽減されて塗膜自体の寿命も伸ばすことにつながります。