塗装・塗料の専門知識
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2025
10.1塗料が乾かない
水性塗料による塗装後のベタつき
夏場に戸建住宅のサイディングボードを水性塗料システムで塗り替えた際、数日後にボード面に手のひらを当てると、ベタつきを感じることがあります。
この現象について「乾いていないのでは?」とご心配の声をいただくことがありますが、これは水性塗料特有の一時的な現象です。
ベタつきの原因は環境と造膜助剤
水性のつや有りエマルション塗料は、溶剤系の上塗り塗料と比べ、塗膜にベタつきを感じやすい特徴があります。
水性塗料は内部の水分が完全に抜けきるまでに時間がかかることもありますが、塗料に含まれる「造膜助剤」という溶媒も関係しています。
水性塗料に使われるエマルションは水の中に樹脂を分散させたものですが、しっかりした膜を形成させるため、可塑剤的な役目を果たす「造膜助剤」が添加されています。塗装直後はこの「造膜助剤」が表面に残る傾向がありますので、ベタつきを感じやすくなります。
季節による違いも
夏場は日射や高温・高多湿の影響で、樹脂が柔らかくなるため、ベタつき感が強くなります。また、塗膜が厚いほどベタつきは強くなり、人によっても感じ方は異なります。一方、冬場は樹脂が硬くなるため、ほとんどベタつきは感じられなくなります。
いずれの場合も、時間の経過とともに「造膜助剤」が樹脂中に均一に拡散することで、自然にベタつきは消失していきます。
放置すれば、自然にベタつきは解消
手で触ると気になるかもしれませんが、このベタつきは一過性のもので、放っておけば自然に解消されます。メーカーや塗料の種類によって差はありますが、夏場でも数週間で落ち着きます。
外壁塗装後のベタつきは塗料や施工の不具合ではなく、塗料の特性と環境による一時的な現象です。少し時間が経てば自然に解消しますので、心配する必要はありません。