塗装・塗料の専門知識
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2020
9.1屋内の光触媒塗装が虹色に仕上がった
虹色はシャボン玉で見られる虹彩化現象が原因
近年トレンドになっている光触媒塗料にはロケット、飛行機、ゴルフヘッドなどに使われる強靭なチタンを原料とした特殊な酸化チタンが使われています。以前は光触媒酸化チタンを活性化させるためには、太陽光に含まれる紫外線が必要でしたが、最近では紫外線だけではなく屋内の蛍光灯や白色LEDのような照明器具の光でも、ウィルス分解、抗菌、空気清浄、脱臭などの性能を発揮する光触媒塗料が注目されています。
今回の問題は、室内のウィルス対策として塗装した水性透明の光触媒塗料を塗装した際に起こりました。塩ビクロスの壁面や石膏ボードの天井面では問題がありませんでしたが、テーブルに使われていたステンレス面が虹色に光るような仕上がりになってしまいました。
虹色に光る現象は、透明な膜の表面と裏面の界面で光が反射して起こる「光の干渉作用」が原因です。透明型の光触媒塗料は耐久性を高めるため、通常1000分の1mm以下の非常に薄い膜厚で塗装する必要があるのですが、この透明な薄膜がシャボン玉などで見られる虹彩化現象と同じ原理で虹色に光ってしまったのです。
金属面や濃彩面への透明型の光触媒塗料の塗装は避ける
屋内に限らず屋外でも同じですが透明型の光触媒酸化チタン塗料は虹彩化現象になるためにステンレスなどの金属面や黒などの濃彩色の壁などへの塗装は避けましょう。
もしこうした状況になってしまった場合は、光触媒塗料メーカーの手順に従って塗膜を取り除くしか方法はありません。
塗装面での光触媒塗膜除去で薬剤を使い、塗膜を痛めてしまった場合は、新たに塗り替えることになりますので、くれぐれもご注意ください。
光触媒塗料は塗装技術と品質管理を必要とする材料ですので、専門に塗装できる業者に任せられることをお奨めします。