塗装・塗料の専門知識
-
2023
9.1旧塩化ゴム系塗料にPCBが含有!?
螺旋階段に塗られている塗料が心配
螺旋階段の塗り替えを検討しているマンションオーナーから「有毒のPCB(ポリ塩化ビフェニール)を含んだ塗料が過去にあったことを新聞で知ったのですが、うちは大丈夫でしょうか?」とのご相談がありました。竣工は1980年で、2002年にエポキシ樹脂さび止めとウレタン樹脂塗料で塗り替えた履歴が残っていますが、竣工時の塗装履歴が見当たらず塩化ゴム系塗料では無いかと心配されています。
PCB含有塩化ゴム系塗料は1972年まで製造された
PCBを含む塩化ゴム系塗料は、4社のメーカーが1966年~1972年に製造販売したものに限られており、橋梁、洞門、ダム、水門、石油、ガスタンクなど大型鋼構造物で使われていました。その後、PCBに発癌性や皮膚障害等を引き起こす毒性があることが明らかになり、1973年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が制定され、製造・輸入・使用が禁止になっています。
ご相談いただいたマンションが竣工した1980年は、PCB含有の塩化ゴム系塗料の生産が中止され、使用が禁止されてから7年が経過した年でしたので、対象では無いことをお伝えしました。また後日、竣工時の工事記録が見つかり、下塗りにシアナミド鉛さび止めペイント、上塗りにアルミニウムペイントを塗装したことが分かり、塩化ゴム系塗料では無かったことを再確認出来ました。
疑いがあれば専門業者に
塩化ゴム系塗料は一般建築物ではほとんど使われていませんでしたが、倉庫や工場などの屋根や外装に塗装されている可能性もありますので、もし1966年~1972年に塩化ゴム塗料を使用した疑いがあるようでしたら、専門業者に調査を依頼することをおすすめします。