塗装・塗料の専門知識
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2026
2.2磁器タイルに専用クリヤーを塗装したら、目地が黒く見えた
黒く見えるのは、クリヤーが目地に浸透したサイン
築20年ほどのマンション妻壁で、タイル表面のつやが落ち、さらに目地から雨水が浸透する懸念がありました。そこで保護目的として、磁器タイル専用クリヤーを使用して改修を実施しました。ところが仕上がりを確認すると、塗装前は白く見えていた目地が、黒く変色したように見える現象が発生しました。
この現象の主な原因は、クリヤー塗料が目地に浸透し「濡れ色(色が濃く見える状態)」になったためです。目地に用いられるモルタルは、施工性を優先してセメント量を少なめにした「貧配合モルタル」が採用されることが多く、経年劣化すると表面が脆くなり、指で擦ると砂がザラついて落ちることがあります。また、劣化したモルタルは無数の細かな孔(あな)を持つ多孔質状態になりやすく、その孔に雨水やクリヤーが入り込むことで濡れ色となり、黒く見えるようになります。
今回は「クリヤーを塗ったら黒く見えた」ことが問題になりましたが、実は雨の日にも同様に雨水が浸透して黒く見えているケースは少なくありません。日常では意外と気づかれないこともあります。
なお、濡れ色が出ているということは、クリヤー塗料が細孔部までしっかり浸透し、目地内部にまで防水性が付与されている証拠でもあります。

施工前の説明が非常に重要
残念ながら、この「目地が黒く見える」現象を完全に防ぐ方法はありません。クリヤー塗料の特性と、目地モルタルの吸水性が組み合わさることで、どうしても起こり得るためです。
だからこそ、施工前・契約前の段階で、現象の可能性を丁寧に説明し、仕上がりイメージを共有しておくことが非常に重要です。事前の理解があるかどうかで、工事後のトラブル発生率は大きく変わります。
「目地の白さを維持したい」という要望が強い場合、劣化した目地を撤去して入れ直す方法もあります。ただし、部分補修でも手間がかかり、費用が高額になりやすいため、現実的な選択肢とは言えません。そのため、施工前に丁寧な説明と相互確認を徹底し、仕上がりへの理解を共有することが、トラブルを未然に防ぐうえで最も重要になります。