塗装・塗料の専門知識
-
2023
2.1磁器タイルクリヤー塗装ではく離!
塗装後すぐに白化してはく離した
築30年以上経過した磁器タイル仕上げの外壁改修工事で、美観の回復と目地からの中性化抑制のためにクリヤー塗装を行いましたが、塗装後すぐに塗膜が白化してはく離に至りました。それらは部分的で水が流れて溜まりやすいところに、多く発生している傾向が見られました。
原因は酸の洗い戻し不足
改修工事はひび割れたタイルの張り替えを行った後、磁器タイル表面に固着したエフロなどの汚染物を酸で洗い落とし、水で洗い戻して、磁器タイル用クリヤー2回塗装して仕上げています。近くで調査しますと、白化部分はクリヤーが浮いて磁器タイル間に空気層ができることで白く見えていました。
白化、はく離している部分は目地、タイルの下端など水の溜まりやすいところでの発生が多いこと、また磁器タイル用クリヤーの硬化システムに酸が影響したことが疑われることから、白化した塗膜を剥がしてペーハー値を測定するとph3の強い酸性状態を示しました。これらのことから今回の異常は酸洗い後の戻し水洗が不十分だったことが原因だとわかりました。ペーハーを測定して作業を進める
磁器タイルの塗装で酸洗いを入れる場合は水での洗い戻しを十分に行い、塗装の前には
ペーハー試験紙などを用いてph値が6~9の範囲にあることを確認して塗装を行う事が
必要になります。
この様な浮き、はく離が発生した場合は塗膜を取り除くしか対策はありませんが、強固に付着している活膜は残しても大丈夫です。ケレン後は水洗いを十分に行い、ペーハー値に問題がないことを確認してから磁器タイル用クリヤーで仕上げてください。