塗装・塗料の専門知識
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2024
7.1駐車場の床塗料のはく離
レイタンスが残っていた!
工場屋内の駐車場に新しく設置されたコンクリート床の塗装を行いました。床専用の研磨機で表面を研磨し、2液エポキシ樹脂床用塗料で仕上げましたが、半年経った頃に車のタイヤが当たる部分で塗装のはく離が見つかりました。
コンクリート床がはく離する原因には、養生不足、含水分の影響、強度不足が考えられます。はく離した塗膜を観察したところ、裏面に白い粉が付着していたことから、コンクリート表層に残ったレイタンスによる強度不足が原因と考えられます。
コンクリートはセメント、水、砕石・砂利などの粗骨材、砂などの細骨材、その他の混和剤で構成されます。コンクリートを打設してしばらくすると、微細なコンクリート粒子を含んだアルカリ水(ブリージング水)が表面に浮き上がります。このブリージング水が蒸発・乾燥すると、表面に脆弱な層(レイタンス)が形成されます。このレイタンスは粉末層で脆弱なため、塗料の付着を妨げます。
現場では最初に研磨機で表面を研磨したようですが、レイタンスを十分に除去できていなかったことが、塗装のはく離の原因と考えられます。
さらに浸透型エポキシ樹脂シーラーでしっかり固める
今回のような症状を予防するためには、まず研磨機を使ってレイタンス層を除去します。機械が入りにくい凹部などは、金ブラシを使って手作業で入念に取り除き、次に生じた研磨粉を十分に清掃します。その後、浸透型エポキシ樹脂シーラーで表面を固め、2液エポキシ樹脂床用塗料を2回塗りして仕上げます。
症状が出てしまった場合は、まず金ベラなどを使ってはく離部分とその周辺の塗膜を除去します。その後、残っているレイタンスを金ブラシなどで取り除きます。次に、浸透型エポキシ樹脂シーラーで部分補修を行い、最後に上塗りの2液エポキシ樹脂床塗料で修復して仕上げます。
新設コンクリート床の塗装では、レイタンスに十分注意して塗装することが重要です。